鴎外さんのおうちにて
この間の日曜日
ヴォイスの師匠よりお声掛けで
森鴎外さんのご自宅が保存されている
上野 池之端ちかくの水月ホテル
舞姫の間(ここが 旧 鴎外邸です)にて
地唄舞の 古澤 侑峯さん。
語りの 松川 真澄さん。
師匠 横澤 和也氏は 篠笛と石笛(いわぶえ)
言魂の響きとともに 全体の進行を。
お三方の合作公演に伺いました。
鴎外さんのおうちが保存されていた事は
初めて知りました。
*
主演目は 森 鴎外の『高瀬舟』でした。
高瀬舟とは流刑地まで罪人を運ぶ舟のことです。
やむを得ぬ事情で
先立つ弟の命を絶つ介助をしたことで
流罪になる兄と
その人を運ぶ 舟付きの役人の心情が語られ
其々のこころが交差する展開を描いたお話です。
鴎外の文章は流れるような趣ですが
氏は軍医だったこともあり
描写は所々 生々しくもあります。
語りに先だって 詠まれた
鎮魂の意味合いをこめた句 『舟』
胸をつかれるような想いになり
泪を禁じ得なかった私なのでした。
*
『舟』
「塵ほどの心にかかる雲もなし
けふを限りの夕ぐれの空」 連月尼
*
ひとときをおいて後半は
笛の演奏だけで 侑峯さんが舞う
『ゆき』
俗世を捨て仏門に入った
尼僧の恋の回想を舞います。
『花も 雪も 払えば清き』
*
終演後
このお座敷で
皆様との お食事となりました。
お膳のしつらえの間は
お庭の散策をゆったりし
美味しいお昼を堪能いたしました。
昼下りのお酒を愉しまれる殿方も。
*
食事を終えて
私は年嵩の友人と
鴎外庭を眺められる喫茶スペースで
あれこれのおしゃべり
お話は宇宙にまで拡がるのです。
とても楽しいひとときてした。
*
ホテルの女将によれば
この場所は建物の下が岩盤で
東大が近かったため戦火を免れた
都内の数ヵ所のうちのひとつなのだそうです。
しかも、たまたま掘った
岩盤の間から 沢山は掘らずとも
運よく温泉が湧出したそうで
ラッキーの重なった場所とのことです。
*
すばらしきご縁に感謝いたします。
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